発表力養成英語

リサーチ

◆Acknowledging Sources
引用文献と参考文献:日本とアメリカの著作権法の違いから起こる定義の混乱




Part I: 日本の場合:引用文献と参考文献は別々である

日本とアメリカにおける、引用文献と参考文献の定義の違いを理解せずに、英語論文(リサーチペーパー)を書くことはできません。そして、この定義の違いが大変ややこしいのです。

日本のリサーチペーパーにおいて引用文献に載せるのは、原文引用した情報源のみです。

日本の著作権法において、引用の4条件(明確な区分性・主従関係、出所明示、必然性)を踏まえていれば、原作者の了解を得ずとも引用することを許可しています。ただし、原文での引用のみとなります。

日本における参考文献の定義とは、「参考にした情報・データが載っている文献」です。「表現」を管轄する日本の著作権法にとって、「情報・データ」は管轄外になります。

ですので、情報・データの出所を参考文献として表示することを日本の著作権法は強制していません。つまり、表現引用した引用文献を載せることを日本の著作権法は強制していますが、情報引用した参考文献を載せるかどうかは、そのリサーチペーパーを書いた人の任意なのです。




Part II: アメリカの場合:引用文献と参考文献を一つにまとめて、 bibliography (引用・参考文献リスト)に載せる

アメリカのリサーチペーパーにおいて、 bibliography に載せるのは、リサーチペーパーに組み込んだすべての情報源 (sources) です。つまり、原文、意訳、要約、アイディア、情報、データの出所をすべて明示する必要があります。

bibliography を英和辞典で調べると「参考文献」と日本語訳されています。しかし、アメリカにおいて引用文献リストは、上記のように bibliography の中に含まれてしまいます。

したがって、bibliography は「参考文献リスト」という日本語訳よりも、「引用文献と参考文献を一緒にした文献リスト」という日本語訳の方が正確で混乱を招かないと思います。

ですので、以下、bibliography (引用・参考文献リスト)と表記します。

アメリカにおいて bibliography (引用・参考文献リスト)の載せ方には、リサーチする分野によっていくつかのスタイルがあります。代表的なのが、MLAスタイルとAPAスタイルです。

MLAスタイル ( Modern Language Association style )
文学、言語、美術に関する論文に使われるスタイルです。最終ページに Works Cited と書き、「引用文献と参考文献を一緒にした文献リスト」を載せます。

余談ですが、 cite は「引用する」の意味ですので、 Works Cited を日本語に直訳すると「引用文献リスト」です。しかし、 Works Cited は bibliography (引用・参考文献リスト)と同義語ですので、
Works Cited = 引用・参考文献リスト
が正しいとなります。(ああ、ややこしい!)

APAスタイル ( American Psychological Association style )
社会科学、コミュニケーションに関する論文に使われます。最終ページに Reference と書き、「引用文献と参考文献を一緒にした文献リスト」を載せます。

余談ですが、 refer は「参照する」の意味ですので、 Reference を日本語に直訳すると「参照文献リスト」です。しかし、Reference は bibliography (引用・参考文献リスト)と同義語ですので、
Reference = 引用・参考文献リスト
が正しいとなります。(ああ、これまた、ややこしい!)

まとめますと、
日本では、表現の出所リストを「引用文献」として、情報の出所リストを「参考文献」として、分けて最終ページに載せます。

アメリカでは、表現の出リストと情報の出所リストを、 bibliography (引用・参考文献リスト)として、一緒に最終ページに載せます。

これまた余談ですが、日本とアメリカにおいて、複数の本に載っているような、その分野の一般常識・共通知識 (common knowledge) は、その情報源を出所明示する必要はありません。(ふー、よかった。)