食品衛生お役立ち情報

検便の必要性とその対応




厚生労働省指導指針「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、調理従事者は、月1回以上の検便を受けるよう求めている。コレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、腸管出血性大腸菌(O-157等)、サルモネラ、ノロウイルスの「検便」について考えてみましょう。



なぜ、「便」を検査するのか

ヒトは飲食物を口から摂取し、胃腸で消化・吸収し、身体に必要な栄養分や水分を取り入れます。身体に吸収されない不要かつ有害なものは体外に「便」の形で排泄します。従って、その便を検査することで“ヒトの健康状態”が分かります。



検便検査の目的は何か

健康保菌者の確認
ヒトは下痢やおう吐など症状がなくても、腸管内に食中毒の病原菌(ウイルスを含む)を保有している場合があり、これを健康保菌者と言います。
保有する菌が第三者に感染した場合、健康被害を起こす可能性があります。従って、検便により、早期に病原菌を発見することで、事故を未然に防止することができます。

体調不良の原因究明
体調不良時の下痢などは、消化器内に細菌が侵入し悪さをしている場合があります。従って、検便により、原因菌を究明することができます。

食中毒の感染経路を調査
食中毒が発生したとき、従業員又は食品に由来したものなのかなど、患者や従業員の検便で、感染経路を探ることができます。



通常時における検便の検査項目

コレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、腸管出血性大腸菌(O-157等)、サルモネラ、ノロウイルス(必要に応じて)。



検便の結果、病原菌が検出した場合

就業規制
*検査機関での検便検査の結果、検査項目であるコレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、腸管出血性大腸菌(O-157等)、サルモネラ、ノロウイルスを検出したヒトは、先ず、医者に診察を受けてください。

*医者がコレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、腸管出血性大腸菌(O-157等)の陽性者であると診断した場合は、「感染症法」の規定で、医者から「直ちに」保健所に届出(義務)されます。

*届出を受けた保健所は、「食中毒」又は「感染症」の事件なのか両面で調査します。その内容は、陽性者宅等に訪問し、どこで、何を食べたのかなどの疫学調査、及び同居家族など接触者の検便検査を行うと共に消毒方法などを指導します。

*コレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、腸管出血性大腸菌(O-157等)の陽性者には、まん延を防止するため必要に応じ、食品に直接触れる仕事等には就業しないよう、「就業規制書」が通知されます。

*サルモネラ、ノロウイルスの陽性者は、「感染症法」では届出等の規定はありませんが、「食品衛生法」の管理運営基準により、食品に係る従事を制限されます。

除菌確認
医者又は必要に応じて保健所が行う検便で、除菌されているかを検便で確認します。
検便により、除菌が確認された時点で出勤は可能となります。


以上、このように、ひとたび、これら病原菌の陽性者(患者)になると、治療し除菌されるまで長期に仕事に就けない場合もあります。くれぐれも感染しないよう、食品衛生講習会等で知識を深め、日々、健康管理に努めてください。)


(食品衛生コンサルタント 豊島重美)