食品衛生お役立ち情報

「営業施設の基準(東京都)」の解説




はじめに

根拠法令とその内容
食品衛生法施行条例は、食品衛生法第51条の規定に基づき、都道府県等が制定したものである。都はこの条例の第三条に「営業施設の基準」を定めている。

この基準は、「施設」について「公衆衛生に影響が著しい営業の34営業許可対象業種」に対し、「公衆衛生上の見地から必要なもの」を定めると共に、かつ営業者が、遵守すべき「法的義務」を課している。従って、その内容は、「必用最少限度の施設の基準」を定めている。

また、営業許可を受けるには、当「営業施設の規準」に適合しなければならない。許可取得後に、基準に違反した場合には、56条の規定で施設の「改善命令」、「営業停止」等の行政処分を行うことができる。なお、罰則規定もある。


営業施設の基準(同条例第3条)
【営業施設の基準】は、すべての34業種に適用する「共通基準」及び業種別に適用する「特定基準」が示されている。なお、営業の形態、土地お状況、その他特別の事情により、知事が衛生上支障のないと認めた事項については「しんしゃく」することができると規定されている。

なお、国からの通知で、「営業施設規準」の準則が示されている(昭和32年9月9日衛環発第43号の別添)

  

解説:
「営業施設の基準」の中でも、衛生確保の上で骨格の設備とは別に、特に衛生上支障のない設備の基準事項は、「しんしゃく」することは、許されるとのことである。なお、国の通知の「営業施設規準の準則の中で、「しんしゃく」できる箇所を示している。ので参考にしてください。



「営業施設の規準」と「施設規準運用心得」を組み合わせた、営業許可申請用パンフレットの意図
都の「営業施設の基準」に係る法令等には、当基準の法令と都の通知文「施設規準運用心得(※1)」とがある。前者の「基準の法文」は主に趣旨を述べ、後者の「運用心得」は、その法文の趣旨を具体化した内容になっている。保健所等が窓口で、営業の申請の際に案内する「営業施設申請用のパンフレット(※2)」は、両者の内容を組み合わせ、見て分かるよう絵図化したものに編集されている。

即ち、当パンフレットの意図は、営業者に、当「施設規準」の基本となる法令文を知らしめ認識させる一方、この法令文の趣旨を踏まえ、法令による強制という手段をとらずに、「行政指導(※3)」の手段を用い、営業者が造る施設が、当「運用心得」で具体化した望ましいあるべき姿形になるよう、誘導する内容になっていると考える。 

  

施設規準運用心得(※1)
「施設規準運用心得」:東京都通知.昭和45年3月4日付け45衛公食発86

営業施設申請用のパンフレット(※2)
インターネットにより、東京都「食品衛生の窓」の「営業施設申請用パンフレット」を参照してください。

行政指導(※3)
一定の行政目的を実現するために、法令による強制という手段をとらずに,所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため相手がたの同意もしくは自発的な協力を得て,適当と思われる方向に誘導する一連の事実上の活動をいう。 (引用:ブルタニカ国際大百科小項目辞典)





Ⅰ.共通基準

1.営業施設の構造

区画
●施設はそれぞれ使用目的に応じて、壁、板、その他適当なものによって区画すること。

  

解説;
区画の目的は、使用目的に応じ、区画することで、相互汚染、二次汚染を防止することにある。

参考:
飲食店及び喫茶店営業では、調理場と客席の間仕切りの設備は、調理場に客がみだりに立ち入ることを防止する程度に区画する。従って、カウンター等の構造物によるものを含むものであって、必ずしも床面から天井までの全部を区画するものを要しないものである。(飲食店及び喫茶店営業の施設規準について、平成8年3月29日衛食第91号通知。)

解説:
従って、客席と厨房の出入り口はウエスタンドアーも可である。

●飲食店において、調理場とそれ以外の場所とを区画するために設けられたカンター等の隔壁は調理場に含まれないこと。

  

参考:
飲食店等に設置される冷蔵設備について、調理従事者が常時監視でき、客が求める商品と飲食店等で調理に用いる食材等の保管場所が明確に区分されている等、衛生確保が可能であれば、その設置場所は、調理場以外の場所であつても差し支えないこととする。(平成10年4月17日衛食48号通知)



施設の床は、タイル、コンクリート等の耐水材料を使用し、排水が良く、かつ、清掃し易い構造であること。ただし、水を使用しない場所においては、厚板等を使用することができる。

  

解説:
排水のための床のこう配は1/50~1/100が適当である。作業中はドライシステム(床面が常に乾いている状態で作業する方式)が望ましい。その理由は、湿度が低くなり、細菌の増殖を抑えると共に、水の飛散による二次汚染を防ぐことができる。

参考:区域分け(ゾーニング)
1)食品の調理過程に汚染作業区域(検収場、原材料の保管場、下処理場)と非汚染区域(準清潔作業区域(調理場)と清潔作業区域(放冷・盛り付け調整場・製品の保管場所)に区分する。部屋、床を色別する等の区域分けが望ましい。
2)区域分けは、人の作業動線が交差することによる「二次汚染」を防止することが目的。
3)区域分けは、衛生レベルの違いで分ける。隔壁が必ずしも必要ではなく、パーテイションや床にラインを引く。
4)なお、簡便法として、厨房が狭く平面的に区域分けできない場合は、下処理時間帯、調理時間帯、盛り付け時間帯など時間差による垂直区分けも良い。その節目節目には施設全体しっかり洗浄・消毒をする。又は、床は汚染区域とし、作業台はを準汚染作業区域及び清潔作業区域に分ける。など時間帯による区域分け、立体的に床と作業台の区域分けの方法が考えられる。


内壁
施設の内壁は床から少なくとも1メートルまで耐水性材料又は厚板で腰張し、清掃し易い構造とする。

  

解説:
1)床からの跳ね返り水による壁の細菌汚染がある。耐水壁にすることで容易に洗浄・殺菌できるようにである。
2)床面と内壁の境界には、半径5㎝以上の丸み(R:アール)をつけることが望ましい。
3)汚れが付いても清掃し易くするための構造にするためである。


天井
施設の天井は、清掃し易い構造であること。

  

解説:
1)配管ダクト、照明器具等が露出しないことが望ましい。
2)ホコリが溜まリにくく、塵埃に由来した細菌汚染・異物混入を防ぐことができる。


明るさ
施設の明るさは五十ルックス以上とする。(作業面:床上約850mmでの明るさ)

  

解説:
照度は、作業台面で350ルックス以上、その他の場所で150ルックス以上であること。


換気
施設には、ばい煙,蒸気等の排除設備を設けること。

  

解説:
1)営業施設の規準では、欠くことのできない必須の基準である。
2)ダクトによって屋外に排気する場合、近隣に迷惑のかからないよう、その高さ及び方向に注意する。
3)フードを設置する場合は、天井との隙間が無いよう直接つけ、外面はホコリが付かぬよう垂直につける。


周囲への構造
排水への対応
グレーチング:排水溝・蓋
グリストラップ:店から排出される油分や残渣(ゴミ)を分離させ、下水へ流出させるための設備である。グリストラップ内に溜まった廃油、汚泥は「産業廃棄物」として適正に処理することが義務付けられている。

  

解説:
排水溝等の清掃不良による衛生上の問題点
1)排水の流れが悪い。
2)廃油、汚泥が大量に溜まっている。
3)害虫が発生する。
4)悪臭が発生する。


ネズミ・昆虫等の防除
施設は、ネズミ族、昆虫等の防除ための設備を設けること。

  

解説:
1)窓に網戸、自動ドアー等で防止する。
2)排水溝には鉄格子、金網等を付ける。


洗浄設備(シンク)
施設には、原材料、食品、器具及び容器類を洗浄するに便利で、かつ、十分な大きさの流水式の洗浄設備を設けること。

  

解説:
1)1槽の大きさ(内径)の目安、最低45cm(幅)×36cm(奥行)×18cm(深さ)以上とする。最低のサイズを明示することでそれ以下はない旨の行政指導。
2)シンクは、用途別(加熱調理用食材、非加熱食材用、器具類の洗浄用等)に相互汚染しないよう設置することが望ましい。
3)シンクの排水口は排水管に直結させ、排水が床周りに飛散しない構造であることが望ましい。


手洗い設備
従事者専用の流水受水槽式手洗い設備及び手指の消毒装置を手洗い及び消毒に適した位置に設けること。

  

解説:
1)手洗い器外径の目安は36cm(幅)×28cm(奥行)以上。磁器製の手洗い器(誰が見ても手洗い専用器であることが分かるもの)を設置。最低のサイズを明示することでそれ以下はない旨の行政指導。
2)手洗い設備は、感知式の設備で、コック、ハンドル等を直接手で操作しない構造のものが望ましい。
3)床が区域分けされている場合は、各作業区域の入り口手前に設置する。

なお、厨房内の手洗い器設置の目的は、調理中に従事者の手指を汚染した、人及び食材に由来した病原体(例:黄色ブドウ球菌、腸炎ビルリオ、サルモネラなど)を洗浄・消毒することである。従って、厨房内の手洗い器は衛生を確保するうえで必要不可欠である。


更衣室
従事者の数に応じた、清潔な更衣室又は更衣箱を作業が外に設けること。

  

解説:
専用の衣服、履物、帽子を着用させるための更衣施設等があること。




2.食品取扱施設

器具等の整備
取扱量に応じた数の機械器具類及び容器包装を備え衛生的に使用できるものとすること。


器具等の配置
固定され、又は移動し難い機械器具等は、作業に便利で、かつ清掃及び洗浄し易い位置に設置されていること。


保管設備
取り扱い量に応じた原材料、食品や添加物並びに器具類及び容器包装を衛生的に保管できる設備を設けること。

  

解説:
食器戸棚・器具保管庫等は必ず戸を付ける。


器具類等の材質
食品に直接接触する機械器具類等は、耐水性で洗浄し易く、熱湯、蒸気又は殺菌剤等で消毒が可能なものであること。

  

解説:
木製の器具は、殺菌しても汚染が残存することが高い。木製の器具は極力使用を控える。


運搬具
必要に応じ、防虫、防塵、保冷の装置のある清潔な食品運搬具を備えること。


計器類
冷蔵、殺菌、加熱、圧搾等の設備には、見やすい箇所に温度計及び圧力計を備えること。また、必要に応じて計量器を備えること。

  

解説:
冷蔵庫及び調理場内に温度計を設置する。




3.給水及び汚物処理

給水設備
●給水設備は、水道水又は飲用適と認められる水を豊富に供給できるものであること。
●貯水槽を使用する場合は、衛生上支障のない構造であること。

  

解説:
貯水槽を使用する水及び井戸水等を使用する場合は、年1回以上、水質検査を行い、成績書を1年間保管すること(衛生管理運営基準で規定)。


便所
●便所(し尿浄化槽を含む)は、作業場に影響のない位置及び構造とし、従事者に応じた数を設け、使用に便利なもので、ねずみ族、昆虫等の侵入を防止する設備を設けること。
●専用の流水受槽式手洗い設備及び手指の消毒装置を設けること。

  

解説:
1)床には排水溝を設ける。汲み取り口、浄化槽のマンホール等が食品取り扱いに影響しない場所にあること。
2)便所、休憩室及び更衣室は、隔壁により食品を取り扱う場所と必ず区分されていること。

調理場等から3m以上離れた場所が望ましい。調理従事者専用のものが設けられていることが望ましい。

参考:便所内手洗器設置の目的
便所内の手洗い器設置の目的は、糞便に由来した腸内細菌系の病原体(病原性大腸菌、ノロウイルス、コレラ等)に、糞便時汚染した手指を洗浄・消毒することにある。従って、厨房内の手洗い器設置の目的とは異なるのである。従って、便所専用手洗い器の設置は衛生を確保するうえで必要不可欠なものである。


汚物処理
廃棄物容器(ゴミ箱)は、蓋があり、耐水性で十分な容量があり、清掃し易く、汚液や汚臭が漏れないものであること。

  

解説:
ゴミ箱は施設基準の一つであるが、多くの店舗では、ゴミ箱が汚れ清掃していない。ごみ箱の汚れはそこが汚染源となり、拡散する。また、お客目線では、ゴミ箱の汚れは、衛生管理に対する飲食店の姿勢や対応の映す鏡でもある。厨房の清潔感や衛生への印象を悪くする。従業員自身も、汚れがマンネリ化し清掃への意識が希薄になり、厨房環境を悪くする。要注意である。


清掃用具と格納庫
作業所専用の清掃用具と格納設備を備える。

  

解説:
清掃用具の洗浄消毒が必ずしも行われていない施設が多い。従って、消毒していない用具は床掃除するたび、施設の床全体に汚染細菌をまき散らすことになる。要注意である。





Ⅱ.特定基準

1.飲食店営業

冷蔵設備
食品を保存するために、十分な大きさを有する冷蔵設備を設けること。


洗浄設備
●洗浄槽は、2槽以上とすること。ただし、自動洗浄設備のある場合はこの限りではない。
●当該食品の販売に係る販売所の施設内の一画に調理所の区画を設け、簡便な調理を行う場合で衛生上支障ないと認められるときは、この限りでない。

  

解説:
自動洗浄機設置されている場合は、シンク1槽でも可である。


給湯設備
洗浄及び消毒のための給湯設備を設けること。


客席
●客室及び客席には換気設備を設けること。
●客室及び客席の明るさは、10ルクス以上とすること。

食品の調理のみを行い、客に飲食させない営業については、客室及び客席は必要としない。なお、風俗営業等の規制、業務の適正化等に関する法律、旅館業法の適用を受ける営業は除く。


客用便所
●客が使用する便所があること。ただし、客に飲食させない営業については、客用便所は必要としない。
●客が使用する便所は、調理場に影響しない位置及び構造とし、使用に便利なもので、ネズミ族、昆虫等の侵入を防止する設備をうけること。
●専用の流水受槽式手洗い設備があること。



上記以外の業種にも特定基準がありますが、割愛します。営業許可申請の際には、施設の所在地を管轄する保健所等に相談してください。